ヨット部を引退して #10

December 2, 2019

 

・そもそも主将という役割はどういうものなのか

この問に終始悩まされた一年でした。
学生ヨット界には、クラスリーダーという技術面でも精神面でも圧倒的に信頼されるポストがあります。これは他部活で言えばいわゆる「キャプテン」だと思います。
それなのになぜまた別に「主将」というポストが用意されているのか。(主将兼リーダーの場合は違うが)

いざ主将として一年尽力すると決意した3年の終盤は、実力なんて下から数えたほうがはやい無力なクルーでした。
技術力では皆に認められていないからこそ別のところで自分の長所を出し切りたい。そういった想いがおぼろげながらありました。
実力=運営力と勘違いする人が多い学生スポーツの中でそれだけは避けたかったのです。

4月からは社会に出る身でもあることから、前提として最後の一年は「ヨット」というツールを用いて社会でも通用するスキルを身につけ、一人前の人間になりたいという裏目標がありました。
そこから、『ヨット部の運営を通して多くの人間と関わりを持ちつつ、その組織自体をみんなで強力にしていく、そのために先陣を切って自ら行動する』ポストとして主将を務めるべきだという骨格を見出しました。

様々な人と協力して組織構築(大袈裟な言い方ですが)する部の運営は本当に楽しく、毎日京大ヨット部のことを考えなければいけない状況はもはや義務を超えて趣味でした。

しかし…
僕は気づけば「ヨット部」は好きだけれど「ヨット自体」は好きとは言い難い状況になっていました。

僕の今年のターニングポイントは間違いなく8月お盆の西宮プレインカレです。
7月の七大戦で九大に敗れ、きんたま袋も破れ、部全員でどうすれば強くなれるかという議題で大規模なグループワークを行ったことで今年のインカレの勝因の一つと言えるであろう「一人一役職」の原型を生み出すことができました。
それを8月西宮プレで試したかった。頭を捻り散らかしてなんとか形にし、調整し、プレに望んだ。組織として視認化できていく様は面白く、強くなるに決まっているというメンタルになった。実際、サポート体制はかなり形になっていて全員で戦えている実感があった。

で、肝心の僕は全く走らなかった。


先述したターニングポイントはなんと北白川の王将でした。
ある部員に
「きゅーぴーは主将としての部運営に注力しすぎていて、肝心のヨットはいい加減になっている。一人一役職であると言っているのに、お前が走っていない。だからプレは負けた。」

そうです。完全にヨットというスポーツを単なる人間成長のツールと捉えすぎてしまったが故に、技術自体の向上を失念しかけていたのです。
主将である前に、1プレイヤーであり、そして今年はなおさらレースメンバーとして選んでもらっているので、「走る」というもう一つの役職があることに気付かされました。
完全に王手をかけられていました。しかし、一駒ずつ前へ進まなければなりません。(王将だけに。)

ここでたどり着いたのは
『主将とは結局、みんなのルーツであるヨット自体を一番愛している姿をどれだけ部員に見せられるかであり、運営などはできて当たり前なのだ。』
という考えでした。


ペアの長塚とも一度本気で話し合い、というより僕への不満をぶちまけてもらい、なんとか温度差を少なくしようと努力しました。
ここだけの話、あれだけ実力があり、ヨットへの愛も人一倍である彼と乗ることは決して簡単なことではあるわけなく、プレッシャーのかかる状態でしたが、残りのヨット人生は、彼に引けを取らず、同じくらい自分なりにヨットに溺れようと決心しました。

気づいていた部員がいるかはわかりませんが、個人戦遠征、インカレ前遠征は事務庶務雑務は事前に済ませて、主将っぽさを出さず、1プレイヤーとして本気で練習を楽しむことに注力しました。この2つの遠征はやはり4年間の中でも一番楽しいものになりましたし、何よりストレスフリーな環境で、一番技術も向上しました。
30083で最高の景色を幾度となく見られたことは一生の財産になるでしょう。

紆余曲折はありましたし、主将として成熟したわけでもなく話もまとまりませんでしたが、引退してみて思うのは、こういったことに気付かせてくれた人、なんやかんやで一緒に乗り続けてくれた人、ブレブレな軸の主将についてきてくれた人、影で応援してくれていた人、人格否定する勢いで主将失格と怒ってくれた人、すべての関係者に感謝の気持で溢れているということです。
昔から父親に感謝の気持を忘れる人間になるなと言われて育ちましたが、この言葉の意味をようやく理解したと実感しています。

全国の頂点に立った景色
他人を巻き込む難しさ
挫折経験から這い上がる経験
他人に支えられて成り立っている実感
それに感謝する気持ち

その他諸々4年間で、社会にでても一生大切にできる財産を得られた、与えてくれた京大ヨット部に入部して本当に良かったです。
これからの人生も不安さと困難さの重みで沈んでしまいそうになるでしょう。
それでもハイクアウトをやめることのない人生を送りたい。

永遠に強くなれ京大ヨット部。


最後のブログは違った視点で綴ってみました。
先日のブログを引退ブログとして書きましたので、興味のある方はこちらを御覧ください。
https://www.kuyc-home.com/single-post/2019/11/06/1031%E3%80%9C114-%E7%AC%AC84%E5%9B%9E%E5%85%A8%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%AD%A6%E7%94%9F%E3%83%A8%E3%83%83%E3%83%88%E9%81%B8%E6%89%8B%E6%A8%A9%E5%A4%A7%E4%BC%9A


京都大学体育会ヨット部
前主将 長浜拓哉 

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