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引退ブログ#4 岸本大輝

  • 執筆者の写真: kuyc-home
    kuyc-home
  • 12月21日
  • 読了時間: 3分
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お世話になっております。4回生470スキッパーをつとめさせていただいた岸本です。ブログを書くのも今日で最後かと思うと少し悲しさを感じますね。


……という定型文のような書き出しで始めましたが、正直なところ、引退してからの毎日は驚くほど快適です。 現役時代、あんなに渇望していた時間と体力が、今は使いきれないほど手元にあります。おかげで趣味、勉強、研究、バイトと、これまで後回しにしていたあらゆることに手を出せており、皮肉なことに現役時代よりも充実した日々を送っています。


もちろん、全く寂寥感がないと言えば嘘になります。強風の練習後のご飯の暴力的な旨さや、気絶するように眠る泥のような睡眠。あの生理的な快感だけは、今の穏やかな生活では味わえないもので、ふと恋しくなる瞬間はあります。


振り返れば、4回の夏まで「インカレにレースメンバーとして走りで活躍する」のを目標にしてきました。しかし実際は夏の遠征途中で実力不足を理由にレースメンバーから外され、時を同じくして受験した院試にも落ちました。部活と学業の両立は体育会大学生の模範的な姿ですが、私の場合は部活と学業の共倒れという表現が最も適切でしょう。

さすがにこの時期は精神的に堪えました。部活に顔を出すのも気まずく、しばらくは立ち直るきっかけすら掴めない、ただただしんどい時期が続きました。


とはいえ、休部を経ることでインカレ当日までにはなんとか気持ちの整理をつけることができました。インカレ当日には、江ノ島での支援艇の手配や観覧艇の調整、レース当日の風情報の伝達など、サポート業務に没頭しました。 サポートボートの上から同期たちが走る姿を見て、純粋に応援できたのは自分でも意外でした。


もちろん、私は聖人ではありません。あそこでメインシートを引いているのが自分だったら、、という思いがゼロだったわけではないです。しかし今はそれ以上に、4年間、灼熱の日も極寒の日も、命の危険を感じる強風も、おもんないド微風も、出艇し続けて、なんとか引退までたどり着けた安堵の方が勝っています。


先述した通り、正直はたから見たら散々な一年だったと思います。しかし、この両翼をもがれて地面に叩きつけられる経験は、私にとって必要な荒療治だったのかもしれません。 これまでの私は、どこか失敗を恐れ、無難にこなそうと守りに入っていた節がありました。少なくとも18歳の段階では京大に合格という一定ラインの安全圏に入ってしまった学生にはとくにありがちな姿勢なのではないでしょうか。一番恐れていた失敗を部活と進路の両方で経験してしまった今、もう失うものはそんなにないような気になります。このある種の開き直りは、私の積極性を取り戻すには十分な経験だったと思います。


引退後の今、妙に素直に自分のやりたいことに向き合えています。失敗しても死ぬわけじゃないし、と気楽に構えられるようになったおかげで、新しい挑戦が楽しくて仕方ありません。


そして、そんな風に好き勝手に挑戦できるのは、結局のところ、ヨット部というコミュニティが後ろ盾として存在しているからだと思います。いざとなれば気兼ねなく話せる人達がいるというのは、思っている以上に心強いものです。


4年間、こんな私と関わってくれた全ての方に感謝します。 ありがとうございました。


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