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引退ブログ#16石橋和樹


第88代主将を務めました石橋和樹です。

11月に小戸ヨットハーバーで行われた今年度の全日本インカレ最終結果は、総合6位入賞、470級5位入賞、スナイプ級10位となりました。昨年に引き続き2年連続で470級がクラス入賞できたこと、そして3年連続の快挙となる総合入賞を達成できたことは大変誇らしく思います。我々の強みである総合力を生かして戦いました。入賞や賞状という形で1年の活動が残ることを嬉しく思います。


引退してから月日は流れ、長かったヨット部生活の記憶もおぼろげになってきました。何を書こうか悩みましたが、ヨット部生活最後の方でずっと頭を離れなかったのが、主将という立場での目標設定と目標を掲げ続けることの難しさです。そのことについて書こうと思います。


本戦前週のプレインカレ、インカレ1週間前の時点での他校との実力差を測る大会です。その城ヶ島カップの成績はかなりしんどいものでした。1年間目標としていた総合3位にはかなり遠く、他大がとても壁のように感じて息苦しかったです。どうチームを鼓舞していいのかが思いつきませんでした。城ヶ島カップの成績を受けて本来の目標に向き合えなかったのだと思います。そこで向き合うために同期を頼りました。同期と話していく中で、主将の仕事はどんな状況でも誰よりも熱量をもってチームを鼓舞することだと再認識しました。主将が下を向いていたら勝てる試合も勝てなくなる、最後まで目標に向かってチームの士気を高めていこうと自分の中で覚悟を改めました。


これまでの団体戦でのチームの雰囲気について考えました。今年の10月頭の団体戦予選、終わった後のチームの雰囲気はどんよりとしていたように感じました。団戦予選の目標は予選通過とアルファベットをつけない事とし、本選の準備と捉えようという話をしました。結果こそ目標達成したものの、どこか皆やるせない感がありました。理由は、その目標が置きに行った目標であったためだと考えました。目標達成したところで何があるわけでもなく、残ったのは同志社大学に惨敗して、立命館大学にも負けたという結果のみでした。主将として勝負に対して置きに行ってしまった。そのため、チーム全体がどこにエネルギーを向ければいいか分からなかったのだろうと思います。負けを正当化している感覚といいましょうか。どこか勝ちへの執着を失ってしまっていたように自分なりに考えて反省しました。


上手くいった団体戦の例として今年の7月の七大戦を考えました。絶対に勝つぞと意気込んでチームの士気を高め、レスキューから陸配置、全体mtgとたくさん準備して臨みました。この時のチームの雰囲気はとても力強かったように思います。総合優勝をしたときはチーム全員で喜べていたように感じました。目標設定が良かったのもあり、全員が目標達成に向けて気持ちを持てたのもあるのかなと思いました。


上の二つの団体戦の反省から、自分なりにどれだけチームに鼓舞して指揮を上げられるかが、主将としての最後の仕事かなと思いました。そして言うべきことを二つに絞り、インカレに向けた全体mtgに臨みました。その2つとは、全日本インカレで総合3位を目指していて、全員で達成するということ。そして、そのための雰囲気を全員で作るよというものです。

主将として総合3位を取りに行くぞと言わなければならないことは分かっていましたが、プレインカレで感じた絶望から総合3位を取るぞと言うのが怖かった。どんな顔して鼓舞すればいいのか分からなかった。しかし、自分が言わないと始まらない、ここで自分が目標から逃げてしまっては他のみんなも目標に向き合えなくなると思って振り絞って言いました。そして、どんな成績であってもみんなで雰囲気を作って最後まで戦い抜こうという話をしました。部員68人に加えた京大ヨット部に関わる多くの人々の持っているエネルギーをインカレに向ける。全員でぶつかる。そのエネルギーの総量が大きいほど、チームとしてのパフォーマンスが発揮できるのではないかと思ったからです。


10月の練習で感じていた焦りやプレインカレで感じた絶望への心配とは対照的に、初日の全体集合からの京大ヨット部の雰囲気は良かったです。特に、高槻を中心とした陸からのエールはすごかった。沖にいるレスキューにまで聞こえてきました。どの大学のエールよりも素晴らしかった。こんなにも大きな声援をもらえるのかと胸が熱く、勇気をもらうとともに鳥肌が立ちました。上マーク船からは、風の傾向を事細かに分析して情報を伝えていました。

全員が小戸に合流してからの雰囲気は1週間前とは全くの別のチームでした。これが京大ヨット部のいわゆる総合力かと思いました。部の雰囲気というか勝ちに行くムードは全員で作り出すもので、そこへの部員の寄与というのは計り知れない。心の底からそう思いました。


1日目、470チームのみんなが前でまとめてくれた時本当に興奮しました。全員前にいた。レース成立しろ!!とレスキューみんなで祈っていました。本当にうれしくてレスキューでガッツポーズをし過ぎました。

2日目、朝の車で古閑ちゃんの作ったモチベアップムービーを見ながら皆でハーバーに向かいました。モチベアップムービーを通して部活でやってきた3年間を振り返ったら自然と胸が熱く涙が出てきました。前日の全体mtgでは上回生はあまり見ることができていなかったので、ここで皆が初めて見ることができたのかな。士気が上がりました。モチベアップムービーの効果もあったと思います。470が安定して前を走り、スナイプ級も桂田やまさよの派手な活躍もあって総合5位に位置付け、総合3位も狙える位置にいました。チームが勢いづいていました。本当にすごいと思いました。このまま勢いづいて総合3位目指すぞというイケイケモードで2日目を終えました。

着艇した際、みんなが和気あいあいと喜ぶ中、玉木や古閑ちゃんを中心とした陸サポートの目つきは鋭かったのを覚えています。審問に向けて着々と準備を進め、黙々と仕事していました。玉木古閑ちゃんありがとう。

3日目、チームが成績を上げている中でレースメンバーには疲労の色が強く見えました。

AP旗オレンジ旗が上がったり下りたり、スタートしてもノーレースになったりと精神をすり減らされる毎日です。本当に怖かった。最終的にはノーレースが続き総合5位で最終日を迎えました。

軽風レガッタでどの大学も成績をまとめられない中、自分たちは2日目の3R目いい展開で終わって現在の位置にいます。軽風レガッタということは、どの大学も走る可能性があり、レース数が少ないということは、1Rあたりの比重がとても大きくなることを意味します。主将としてチームの疲労が溜まっている中で、もう一段階チームを鼓舞する必要があると思い、もっと勝ちに行く姿勢を表に出そうと思いました。

4日目、朝のmtgで主将として勝ちに行くよ。勝たなきゃ意味ないよ。的な強めの言葉を言いました。全体に向けてありきたりな、楽しんで最後までレースをしましょうと自分がいうのは容易いけれども、どこか本質的な役回りから逃げているように感じたためです。もっと勝ちを渇望して発破をかける。そのようなガツガツした姿勢が求められていると思いました。自分なりに向き合えて言うべきことが言えたと思いました。

最終レースは小澤と赤城がとても走っていました。流石にかっこよかったです。1位の瞬間マジで惚れました。いやかっこ良すぎやろってなりました。サポートしてくれる皆からの情報をもらって走るんやと言っていた小澤と赤城が有言実行してて、総合力で走ってるのかとなり嬉しかったです。これが京大ヨット部の戦い方やと言わんばかりの背中を見て嬉しく興奮しました。最終レースでそれやるか~と胸が熱くなりました。最終結果の470級5位は嬉しかった。飛び込みたいくらいめちゃくちゃ嬉しかったです。しかし、総合6位という結果をどう受け止めていいか分からなかったのと、スナイプの審問があるかもしれず総合成績が変わるかもしれないと言われ安心できなかったので表情を決められないままハーバーバックしました。

着って保家と抜井に1年間の感謝を伝えました。保家にあんまり走れなくてごめん。君の分までもっと走りたかったと言われた時泣きそうになりました。保家に熱い言葉をかけてもらって嬉しかった。結局審問は出されず、総合成績は6位のまま表彰式を迎えました。総合入賞して賞状がもらえたこと嬉しく思い、インカレは終わりました。


自分はレースに出ていたわけではないし、僕がかける言葉がチームに対して何か影響を与えたかなんて分かりません。でもそんなことどうでもよく、1年の自分達の活動が賞状として形に残ること嬉しく思いました。自分なりに1年間最後まで戦いました。自分に与えられた使命はチームの士気を高めることでした。最後の方になってようやく分かりました。大きな声で目標に向かって鼓舞する。至ってシンプルですが、色々考えすぎてとても難しかったです。主将として求められている技術面や精神面に対して自分が未熟すぎてそのギャップに苦しんだ1年でした。何回も病んだし、色んなものを犠牲にしてこの1年駆け抜けました。最後レースに出られなかったけれども、風が吹いていたら絶対に走っていたと思える技術力が身についていたし、たくさんコミットできたと思えるので悔いなく引退できます。この気持ちになれたのは、實松さん、奈良さん、大島さん、大地さん、松島さんや長塚さん入江さん、三船さんなど多くの方に支えられて時にはシバかれて続けられたことと、ヨットが苦手な自分でもたくさんの技術を身に着けることができた京大ヨット部の環境のおかげです。本当に感謝しています。


OBOGコーチと先輩方へ

京大ヨット部の環境は素晴らしいです。この環境でたくさん成長させていただきました。確かな知識を持った先輩方がいて、恵まれた備品類があり、人数も規模もしっかりしています。

この素晴らしい環境を残してくださりありがとうございました。特に夏の合宿期間にたくさん練習に足を運んでくださったこと、技術的にも精神的にも支えてくださったことは忘れません。今後は我々も今まで頂いてきた分の恩返しを現役部員にしていく所存です。今後ともよろしくお願いします。


同期のみんなへ

僕を主将として立ててくれて、たくさん支えてくれてありがとう。主将をやりたいと思ったのは単に自分の成長がしたいとい気持ちで、チームとかは二の次でした。ヨットの知識も技術も無ければ、組織の運営方法もわからない状態の自分をパッションだけで最後まで信じてくれてありがとう。個人的には自我を通して最後までやってよかったなと思ってます。本当にありがとう。


後輩のみんなへ

1年間ついてきてくれてありがとう。インカレの時にも言いましたが皆が小戸に来る1週間前のチームの雰囲気はしんどかったです。皆が合流して全員で雰囲気を作って戦った結果の総合6位入賞と470級5位入賞です。胸を張って結果を受け止めましょう。たくさんのサポートありがとう。京大ヨット部の強さは人数の多さと総合力から生まれる雰囲気の良さなんじゃないかなと思います。これからも新歓毎年頑張って皆で切磋琢磨してより良い雰囲気を作って、勝ちに貪欲に頑張って行ってください。サポートという形で恩返しさせていただきます。一緒に頑張りましょう。メンタルしんどくなったらご飯誘ってください。


最後に

この1年伝統ある京大ヨット部の主将という役職を務めさせていただき、本当にありがとうございました。この活動の中で自分は多くのことを経験し、多くの人と出会い、成功や失敗も含めたくさん経験を積み、たくさん成長することができました。最後までやり切れて本当に良かったです。一緒に駆け抜けたヨット部に関わる人々との人間関係やこれらの経験は大学4年間を通しての大きな財産です。本当にありがとうございました。


京都大学体育会ヨット部

第88代主将 石橋和樹


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