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引退ブログ#16 南野仁(86代主将)



京都大学体育会ヨット部第87代主将を務めました、南野仁です。

先日の代交代式では後輩へのメッセージは全て話したつもりですので、このブログでは今年一年主将としての振り返りを記そうと思います。感情的なことも含まれるかと思いますがご容赦ください。


私は3回生始まりごろに主将をやることが確定していました。1年弱チームについて考える期間はあったものの、プレイヤーとしての活動に逃げているような節がありました。

次期主将という立場は、チームのカギとなる役割を果たせるということを認知していませんでした。

そんな中先輩方が引退され自分の代を迎えました。

蒲郡インカレにて京大は「470級10位,スナイプ級4位,総合5位」という結果を残しました。チームとして「総合入賞」の目標は達成できているものの、チームは不完全燃焼のように思えたし、先輩方の涙は悔し涙でした。目標を達成しているのに、何か満たされないような雰囲気がありました。自分たちのインカレでは、皆で嬉し涙を流し引退したい、そう強く思いました。

自分達の代の目標を決める必要がありました。前々からインカレ開催地が琵琶湖であることもあり、総合優勝を目標に据えるつもりをしていました。

ですが同期とミーティングを重ねるなか、「蒲郡インカレのスコアを考えると、現実性の無さがどうしてもネックになる、全員が本気で目指せる中で最高の目標を設定し、それに向かって全員が努力できることのほうが理想を掲げることより大切ではないか?そしてそれは総合3位だ。」という意見が多くありました。私は納得しつつも、逃げているような感覚があり、すぐにはそれでいこうと言えませんでした。ですがある考えに至り「総合3位」目標に決定しました。

それはこの部活の「最終目的」を考えたからです。「チームで勝つ喜びを皆で共有する」これが私の考えた部活をする目的です。スナイプ級が全日本クラス優勝した時の雰囲気を目指したかった。また、大学スポーツをやる意味はここにあると確信していていました。

この目的を達成するために目標がある訳で、チームの大半が本気で目指し、達成して喜ぶことができる目標であることが大切だと思いました。自分の中で納得がいき、87代の目標は「総合3位」となりました。470は入賞、スナイプは優勝をチーム目標としました。


さて如何にしてその目的と総合3位を達成するのか、そして自分がすべきことは何かを毎日考えました。その内容が以下です。


強化方針


目的:チームで勝つ喜びを感じる

目標:インカレ総合3位

全員がチームへ貢献できる状態で上の目標達成

① 470・snipeの技術力(全国総合3位を取りうる)

② 全国一位の総合力

①は各クラス担当

②1)両クラスの協力による底上げ

2)マネージャー力の進化

3)部署の活性化

4)個人のチームのための良い動き


インカレは総合力の勝負だ、よく言われることでありますが、それを具体的にすることが大切だと思いました。総合力がどのようにインカレに効いてくるか、実は100%でこのときは説明できませんでしたが、手探り状態で自分なりに4つのテーマを作りました。

代交代~春合宿の期間に、部署制度の見直し活性化、マネージャー筆頭としたサポート体制の強化、そして京大生が最も苦手な日常的な集団としての行動の習慣化に取り組みました。

なんとかして個々人のチームへの貢献を引き出したい、その一心でした。

また各クラスの交流の機会を増やし、情報共有を積極的に行ってもらいました。


春合宿は極寒の中よく頑張ったと思います。かつてないほどオフを削ったと思いますが、主将として妥協せずにみんながギリギリついてこれるラインを攻めていました。下級生はかなりレベルアップしていたと思います。

その後の新歓は大成功を収め、多くの一回生を迎えました。余談ですが今年の新歓で入部人数が一桁なら今後部の勢力はかなり危うかったと思います。2.3回生よく頑張ってくれました。


そして迎えた個人戦予選までのレースシーズン、詳しいことは省略しますが、私は主将としての役割を見失いました。個人戦予選での惨敗は皆もよく知るところですが、全体として結果が出ているレガッタもありました。

そんな中「主将として自分がやってきたことが結果に影響していることが実感できなかった。」この一言に尽きます。いくらチームをよくしようと取り組んでも、結局のところみんなヨットを中心に部活をしていて、そのモチベーションを引き出したり、強化できるのはクラスリーダーだ、そう思う自分がいました。リーダーの役割に比べ、無力感を感じていました。

練習後掃除をしない部員に対し注意しながら、こんなことをやる意味があるのかと、毎練習ため息をつき、悲しくなりました。こんなことに気を遣わずにもっと他の事でチームの強化に取り組みたいと思ったこともあります。主将の仕事とは何なのか?この時は本当に分かりませんでした。自分がやっている仕事は部員の世話係に思えたし、陸にいる時間がこのころから憂鬱になりました。

個人戦予選では乗員表STPがついて、チーム管理の甘さが露呈しました。これに関してはかなり責任を感じました。日々のストレスに惑わされて大切なことを見落としていたのかもしれません。

そんな中私の支えになってくれたことは、マネージャーの成長でした。3回生ながらマネリーダーを託してしまったなおちゃんには始め申し訳なく思っていました。4回生がおらず当初はかなり不安でした。しかし、彼女ら(彼ら)は立派でした。畑中の力はもちろん大きかったと思いますが、1回生マネを立派に教育している姿は感動的でした。

後のインカレにかけてここでマネージャーの力が伸びたことは大きなプラスになったと思います。


7月になり七大戦が近づいてきました。唯一のインカレ形式の団体戦ということで、インカレのための練習ができる絶好の機会と捉え気持ちを切り替えて準備しました。

ここで活躍してくれたのが次期主将に内定した石橋でした。彼にはサポートチームの統括を任せました。不器用なところもある彼ですが、彼なりに下級生の貢献を引き出そうと思案してくれました。3年前から京大で受け継がれている「一人一役職」を徹底して、京大は一つもアルファベットをつけず総合優勝することができました。一年前の僕にはできなかった、重要な役割をこなしてくれました。

しかし、スナイプは優勝できず、完全優勝とはなりませんでした。詳しいことはフルセールに書こうと思いますが、レースに出ていた身として今年一番悔しいレガッタでした。

チームは総合優勝したのに、心の底から喜べませんでした。

スナイプのチームメイトと、「チームとしての目標は達成できているのに、クラス目標が達成できないことで喜びが半減してしまっては、元も子もない。みんなで喜びたい。」という話をしました。インカレでそのようなことにならないために、目標の位置付けを修正しました。このチームの目標は「総合3位」であると、自分、同期、下級生の順に意識するように伝えました。もちろんクラスの目標は大切だけど、それはあくまで総合のための小目標にすぎないという認識に変えようとしたのです。インカレまでの大きなターニングポイントになったと思います。


夏合宿が終わり、予選の時期になりました。上級生はひたすらコース練を470とスナイプ同海面でこなし、風分析をやっていた甲斐あってか、コースに対する両クラスの意識は高く、この4年間で最高だと僕は思いました。

下級生と練習を分けていたことで、上級生はハイレベルな練習ができていましたが、その分下級生指導は大変だったと思います。意識も違うし、どうしてもチームとしては二分されてしまいます。なかなか解決策を施せなかったです。

予選ではサポートから本戦を意識して臨みました。

チームに実力向上を感じていたので予選では同志社に負けてしまいましたが、焦りはなかったです。ここからラスト一か月の過ごし方で決まると思いました。


最後の1か月

インカレに向けたピーキングを行う期間でした。この1か月で大幅に技術力があがることはないが、その代わりにできることを定着させることに意識をおいて、可能な限り練習しよう。そう直前練習組に伝えました。これはスナイプの先輩である長塚さんや村山さんから受け継いだものです。今年はスナイプのみならず全体でそれを実行しようと思いました。

直前のBBマリンカップ。ほぼインカレと同じメンツなので、チームとしてはここで実力が見える(見えてしまう)緊張感あるレガッタでした。

マネージャー中心で上位3艇の合計値で総合得点を出してくれました。緊張しながらエクセルの画面を見ると470:5位 snipe:3位 総合:3位 となっていました。

京大は3番艇が毎レース変わっている計算で皮算用ではありましたが、かなり嬉しいデータでした。上位大学でもアルファベットで沈んでいる所が多く、「やっぱり横文字付けたら負けるよね。」その思いを再度共有しました。


インカレ本番前のミーティングではチーム全体に何を伝えようか迷いましたが、なんとなく浮かびつつあったインカレでの勝ち方のようなものを伝えました。

レースメンバーに対しては、とにかく「いつも通り」を徹底すること。リコールせずに、いつもの順位をとろうと伝えました。そしてサポートメンバーに対しては、レースメンバーがいつも通りを出せるように陸、沖での仕事をこなしてほしいと伝えました。

レースメンバーの実力というのはサポートでは変わらないけれど、100%だせるかはサポートにかかっていました。そして4日間いつも通りやっていればBBマリンカップと同じように、ミスする大学を抜いて3位をとれる、そう信じてやろうと皆に伝えました。


インカレ本番については他の人が書いてくれると思いますので省略します。


最終的にはBBカップと同じ470:5位 snipe:3位 総合:3位 という快挙を成し遂げることができました。

はっきり言って、実力だけで見ると総合3位は遠かったと思います。ですがチームみんなの総合力が京大を総合3位まで押し上げました。

もちろん実力を出したのはレースメンバーですが、いつも通りの実力を出させたのは間違いなくサポートです。普段通りやってミスを待つ、狙い通りの形を作ってくれました。

特に今年はマネージャーの力が大きかったと思います。新しい取り組みはチームに勢いをもたらしていました。

観覧艇の手配、SNSでの情報発信、上マークでの風の分析、審問の準備、得点計算、陸の整理、役割は様々ですが、どれも回りまわって京大の総合力です。チーム全員が誇っていいインカレであったと間違いなく言えます。

代始まりに掲げた総合力の方針ですが、正直うまくできなかったことも多いし、どこまで結果に結びついているかは明確ではありません。ですがインカレの舞台を通して、ぼんやりとしていた「総合力」が「インカレ力」としてひとつの形になったのではないかと思います。


最終日着艇した後、多くの部員が喜んでいて、本当にうれしかった。今年の目的であったチームでの勝利を喜ぶことが少しは達成できたと思います。

インカレでの勝利を目指してチームをピーキングすること。これは言うまでもなく主将の仕事でした。インカレになってようやく悩みだったことの答えが出ました。

さすがに助走が長すぎてきつかったのと、個人的にはこの一年苦しいことの方が多かったので、いろいろ入り混じって良くわからない感情にはなったけど、周りの部員の姿を見て少し報われた気がしました。

中には、思うように喜べなかった人や、悔しかった人、自分事に思えなかった人もいると思います。それは自分の力不足だと思うし、申し訳なく思っています。

来年の代ではさらに良いチームをつくり、皆で勝利を喜んでくれることを願います。


最後になりましたが、4年間を通して数々の先輩方にお世話になりました。先輩方の思い、言葉を胸に1年間頑張ることができました。

先輩方の積み重ねで京大ヨット部は強くなっていることを実感した1年でした。この場を借りて感謝申し上げます。本当にありがとうございました。


後輩に向けて

京大ヨット部は人数が多く、自主性が高い、それで結果を伸ばしてきた事実がありますが、その分毎年違ったチーム運営を求められます。前年度インカレでどれだけいい成績をとっても貪欲にチャレンジを続ける必要があります。大変ではありますが、魅力のある部活です。

限界を決めず、強くて良いチームを作ってください。がんばれ!京大ヨット部!


京都大学体育会ヨット部

第87代主将 南野 仁

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