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引退ブログ#2 奈良昌弥


お世話になっております。87代470級クルーの奈良昌弥です。ついに最後のブログとなりました。全日本インカレを終えて引退した今の、率直な気持ちを綴ろうと思います。


大学4年間を部活に懸けてその先に見える最後の景色とは、果たしてどんなものなのだろうか。それは実際にその時を迎えた人にしか分らないのではないか。

これは僕がヨット部を続ける上でモチベーションの一つにしていたことです。

達成感や高揚感で満ち溢れるものなのか。あるいは様々な思いがこみ上げてきてふと涙するものなのか。その瞬間に密かに期待を抱きながら、インカレ最終日を迎えました。


最終日を迎えた段階で、京大は総合3位・470級5位に位置しており、その日は微風予報。スナイプ級の方が1レース少ないことも考えれば、すでに目標達成は現実的な状況でした。スナイプチームに対する不安は全く無く、自分たちはレースがあれば全力を尽くすのみ。やることは明快。いつも通り出艇しました。

風待ち中はリラックスしつつも、いつでもレースができるようにいつも通り気持ちを切らすことはありませんでした。刻一刻と時間が過ぎ最終予告時刻に近づいても、それは変わらず。ついに大会終了を告げるホーンが鳴り、悲願の総合3位・470クラス入賞が確定するも、引退に対する実感が無さ過ぎ、感情が動くことはありませんでした。ハーバーバックしてもなお感情に揺さぶられることは無く淡々と解装を終え、最後のインカレはあっけなく幕を閉じました。


インカレを終えてしばらく経ち、今まで日常の一部といえたヨット部への関わりが突然途絶え、その時感じ得なかった引退に対する実感を今少しずつ感じつつあります。Windfinderで風予報をチェックすることやslackを確認すること、ハーバーや行き帰りのヴォクシー内での他愛もない会話といったほんの些細な出来事から、大小様々なレースに至るまで、日常の事柄が積み重なって自分のヨット部生活は形作られていました。その積み重ねが、インカレという終止符を最後にめっきり止まったことで、自分の心の中にぽっかりと穴が開いたように感じます。

振り返ってみても、自分のヨット部生活はこのいつも通りの日常の積み重ねでしかなかったです。日常に降りかかる目の前の出来事に対して前向きに捉え、どうすればいいか、次どうすればいいか、その時考えたベスト(ベターというべきか)な選択をしながら、生活を前に前に進めてきました。その「前」が無くなってしまった今、真に引退を実感しているといえるのかもしれないです。


今回のインカレを振り返っても、この「前」を向いて駆け抜けられたことが、個人にとってもチームにとっても何よりも大切なことだったように思います。大会期間中、各々が与えられた役割を全うし、4日間で目標達成を諦めた人は誰一人としていなかったように思います。皆がいけるかもしれないという期待感のもと前進を止めなかった、その積み重ねが最終結果に結びついたように思いますし、ここに真の総合力があったと感じています。「総合力」という言葉はなかなか具体化するのが難しい言葉だとは思いますが、少なくとも今のヨット部の日常の積み重ねの中に答えがあるのだろうと思います。


京大ヨット部は自分が在籍していた4年間の中でも、間違いなく成長してきました。470クラス入賞ひいては総合3位という成績は、自分らが成し遂げられなくとも、今後数年以内に必ずや成し遂げられると確信していました。それでも、それを自分らの代で成し得たこと、素直に嬉しく誇りに思います。今まで数々のOB・OGの方々が過ごした京大ヨット部生活という日常の延長上に立ち、積み上げられた土台の上に立ってようやく成し遂げることができました。すべての先輩方に感謝いたします。そして何より、ペアの抜井ちゃんをはじめ一緒に戦ってくれたチームのみんなに感謝します。自分一人じゃここまで来れなかったです。


ここ京大ヨット部で過ごした4年間は、自分にとってかけがえのないものです。仲間と苦楽をともにしながら切磋琢磨した経験、目標達成にむかってチーム一丸で努力した経験、どれも今後一生の財産になると思います。京大ヨット部の今後のさらなる躍進を応援しながら、自身も社会で活躍したいと思います。

ありがとうございました。


京都大学体育会ヨット部

奈良昌弥


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