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思い出のレース #31



こんにちは、2回生470スキッパーの抜井です。今回のテーマは「思い出のレース」ということで、一年前このテーマブログを読み漁って期待に胸を膨らませていた自分もついに書く側になったのかと、感慨深く感じています。思い返してみると、この一年だけでも本当に数多くのレースに出場し、たくさん貴重な経験をさせてもらいました。あと一歩のところで枠を逃し死ぬほど悔しい思いをした個人戦予選、初めて同期と乗った新人戦、古澤さんとワンツーフィニッシュを決めた団体戦予選の2レース目、全国の壁の高さを実感すると同時に全国でも戦えるという手応えをつかめた団体戦本戦。思い出深いレースはいろいろ浮かびますが、今回はその中でも特に印象的だった全日本470の1レース目について書いていこうと思います。


昨年11月に江の島で行われた全日本470は、現役のオリンピック選手を含め名だたる日本のトップ選手が集う非常にレベルの高い大会でした。京大からは抜井・奈良、古澤・實松の2艇で参加しました。代交代後かつ全員が3回生以下という気楽さからか特に緊張することもなく、自分が全国でどこまで通用するのかただ純粋にワクワクしていた記憶があります。


そうして迎えた初日は朝から風が弱く、そよそよ入ってきた南風もなかなか安定しないという状況で、「琵琶湖ならやるかもしれんけど江の島ではやらんやろうなあ」と勝手に思っていました。しかしそこで予想外にもクラス旗が上がります。「え、この風で全日本やっちゃうん?」と内心動揺したままスタート。そのスタートはゼネリコになったのですがすぐに次のシークエンスが始まり、なんとか気持ちを切り替えて真ん中上寄りからぼちぼちのスタートを決めました。スタート2分後くらいに入った大きな左フレでポートに返して伸ばしていると、どんどん自分が前に出ていくのが分かりました。この時点で動揺はすっかり消え、「これはいけるで」みたいな根拠のない勝ちメンタルになっていた気がします。その後はブローをつむぐ意識で素直にフレタックを繰り返してトップラインをキープし、1上を4位で回航しました。サイド下、いつもならブローを先に受ける後ろの艇団に焦って追いつかれてしまうところですが、謎の自信と冷静さを手に入れていたこのときの私は、艇団の下で前回りブローを受けてゲインするという王者コースを引いて、下マークを2位で回航します。このときすぐ後ろには、それまでまったく絡む位置でなかったはずの高山大智さんがいました。高山さんには2上のアプローチで抜かれ、2下はずっとその後ろをついていきました。高山さんはランニングの艇速が異次元な上にジャイブタイミングも完璧で、これがトップ選手の走りかと、レース中にも関わらず感嘆してしまいました。そうこうしているうちに2下にたどり着き、2位で流し込みレグに入ってぱっと後ろを振り返ると、すぐ後ろにベネッセとトヨタのマークがかかれたスピンが見えました。一瞬フリーズした後、それが岡田圭樹さんと吉岡美帆さんであることを理解し、「さっきまでいなかったのにいつの間に現れたんや?」という驚きと「岡田さんより前を走ってる!」という興奮で頭がいっぱいになりました。この事実を共有したくて仕方なかったですが、奈良さんがびっくりしてスピンをつぶしたらいけないと思い(笑)、一人でドキドキしていました。微風なのも相まって、ただの流し込みがとてつもなく長く感じた覚えがあります。そのままなんとか2位でフィニッシュし、スリリングな1レースは幕を閉じました。


こうして改めて書いてみると、やはりこのレースは私にとって大きな意味のあるレースだったなと思います。このレースを通して得た、自分の力を発揮できればどんなフリートでも前を走れるという自信と、持ち味であるクローズのコースどりは全国でも通用するという手応えは、今でも私の心の支えになっていますし、前を走ったからこそ痛感したランニングの帆走・コースどりにおけるトップ選手との圧倒的な差は、もっと速くなりたいというモチベーションにつながっています。


結局この日は1レースのみとなったため、私たちは初日を3位で終えるというミラクルを起こすことになりました。弐とかかれたビブスをもらったこと、バルクヘッドに載ったこと、インタビューを受けたこと、どれも忘れられない思い出です。


この経験を共有した奈良さんとは今年、紆余曲折あって再びペアを組むことになりました。最近久しぶりに一緒に乗ってみて、奈良さんがめちゃくちゃ上手くなっているのを実感しています。私も負けないように成長して、ペアとして去年よりもっと強くなって、全日2位フィニッシュがかすむくらいの景色を二人で見に行きたいと思います。


ずいぶん長くなってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。

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