思い出のレース #23

June 29, 2020

 こんにちは。4 回生スナイプクルーの奥村歩です。今回のテーマは「思い出のレース」ということで、昨年 10 月の「第 72 回全日本スナイプ級ヨット選手権大会」(全日本スナイプ)について書きます。

全日本スナイプには、各水域の予選を通過した学生から社会人までの全 70 ペアが集まります。スナイプ級と いう艇種においては、日本で最もレベルの高い大会です。昨年は神奈川県葉山港で予選シリーズ 3 日間、決勝 シリーズ 2 日間の日程で開催されました。私は一学年上のスキッパー綱井さんと 7 月の琵琶湖水域予選に出場 し、上位選手の辞退によって全日本スナイプ出場権を得ました。

11 月の全日本学生選手権(インカレ)団体戦には各大学 3 艇ずつ出ますが、当時の京大スナイプチームでは 3 艇目のペアが決まりきらない状況でした。その中で、7 月末時点の実力では自力でのスターティングメンバー入 りは厳しいとスナイプチームリーダーから言われました。そして、この全日本スナイプで好成績を残し、自分 たちの実力を示すことがスタメンとしての起用条件であることを伝えられました。なので、予選シリーズでと にかく上位半数のグループ(ゴールドフリート)に入り、決勝シリーズではそのハイレベルな争いのなかでインカ レ団体戦優勝に貢献しうる実力を示したいと考えていました。

そして迎えた全日本スナイプは、連日風速 10~16kt 前後でシフティーなコンディションでした。私たちは 2 日目の時点ではゴールドフリート圏内にいましたが、3 日目で順位を落としてしまい、決勝シリーズでは下位半 数のシルバーフリートに残ることが決まりました。この時、残り 2 日間のレースが綱井奥村ペアにとっての最 後のレースになることは、言葉に出さなくてもわかっていました。そして、2 年間ペアとして共に戦ってきた綱 井さんや、私が精魂を込めて整備してきた愛艇 30665 のためだけに、順位のことは考え過ぎずに最後まで自分 のやるべきことをやり続け、無我夢中でレースを楽しもうと思いました。最終レースは足が痺れて感覚があり ませんでしたが、フィニッシュしたら足がもげて相模湾の藻屑になっても良いと本気で思ってハイクアウトし ていました。風上マークでのフィニッシュ直後、ハーバーバック(帰港)を指示する運営船のフラッグを見て、も う次のレースがないこと、楽しくて楽しくて仕方がなかった全日本スナイプが終わってしまったことを再認識 すると涙が出そうになりました。そして、藻屑になる前に、泣いて声が出なくなってしまう前に、なんとか言 い切ろうと思って、「今までお世話になりました、ありがとうございました」と早口で言いました。それでも言 い終わるかどうかのところで涙が溢れ始めました。波を被っては乾いてを繰り返して顔面に析出した塩の結晶 が涙に溶けて、高濃度の食塩水が生成し、口元に流れてきました。あんなにしょっぱい涙を舐めたことはあり ませんでした。でも、私は Oakley のミラーレンズサングラスをかけていて、泣いても綱井さんには絶対ばれな いはずなので安心して泣きました。

綱井さんとは、前年の夏にもペアとしてレースに出てきました。私達は他のペアよりも長い期間を共に戦っ てきたので、セーラーとしてのお互いを誰よりも理解しているのは自分たちだと思っていました。そして、そ のボートスピードを最大限引き出してこの大舞台で前を走ることを目指し、時に笑い、時にもがき苦しみなが ら日々練習を重ねてきました。ペアとして過ごした期間は、容易く美化できる思い出ばかりでは決してありま せん。けれども私がこのヨット部でセーラーとして、人として成長する、最も多くのきっかけを与えてくださ ったのは綱井さんでした。ハーバーバック中、涙の塩辛さが引き金になって、そうした様々な思い出と感情が 一緒くたになって体中を駆け巡っていました。

今年は私の学生セーラーとしての最後の年になりますが、同期や後輩と共に結果を出し、目標達成に貢献し ていくことで、お世話になった先輩方に恩返しができたらと考えています。そして、チームみんなで未だ誰も 見たことがない景色を見て、笑顔で引退していけたらと思います。応援よろしくお願いします。

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