ヨット部を引退して #7

November 26, 2019

 

お世話になっております。第84代スナイプリーダーを務めました長塚正一郎です。ヨット部での活動を振り返ると、我ながらブレブレな4年間を過ごしてきたなあと思います。他の同期のように筋を通してやり切ったと言えるかっこいい4年間ではありませんでしたが、ここでは、ヨット部に捧げ切った自負のある、最も濃かったこの1年を中心に書かせていただきます。

優勝を達成したいま、リーダーとしての1年のあらゆる出来事を美談として片づけられる気もしています。が、正直、きれいごとで済ますにはあまりにも人間的でどろどろした毎日でした。この1年、上手くいったことなんて数えるほどしかありません。

1年前の代交代式、クラス準優勝の裏でレースに出れなかった同期が涙を流す姿を見て、チームの在り方について深く考えさせられたのを昨日のように覚えています。インカレクラス優勝するために、どんなチームを目指したらいいのか。「良い」チームを作りたい。でも「良い」って何なんだ?強豪私立のような「結果」に拘るドライなチームやレースメンバー至上主義に対する違和感。それよりもメンバーの多様性を生かした京大らしいチーム。これを目指したい。チーム全員が各々のモチベで動き、思考する、だけど同じ目標に向かっているチーム。リーダーはメンバーの可能性を信じ、全員で優勝へと向かっていく。レースメンバーが全てじゃない風潮。これが、セレクション制度始まって以来国公立が獲ったことのないクラス優勝への唯一の道に思えました。

そうして始まった新体制ですが、順風満帆とは程遠い毎日が続きました。インカレ優勝の理想とはあまりにもかけ離れた結果。結果よりもチームスタイルを大事にするとしておきながら、結果に拘ってしまう自分。レースメンバーが全てじゃない、それ以外にチームのためになる役割があるはず、だけどレースに出たい。そんな部員の葛藤を前にして、レースメンバーの自分は何もしてあげられない。その無力感。夢を否定され、チームメイトの可能性を否定された気がして悔し涙を流した日もあれば、それとは裏腹に、みんなを完全に信じ切れない日もありました。そんな自分が嫌で嫌で、選んだ道の険しさを恨み、リーダーとしての器の小ささに幻滅し、ひたすらみんなへの申し訳なさを感じていました。

自分の胸の内を正直にぶつけてくれた後輩や、優勝の瞬間を夢に見てそれを正夢にすると言ってくれた同期、朝の4時まで相談に乗って下さったコーチ。みんながいなければ、僕は夢に破れ、ここまで来ることはできなかったでしょう。みんなの夢へと向かう姿が、僕が前を向く原動力になり、もう一度みんなを信じよう、そう思わせてくれました。

そうして迎えた全日本インカレ。初日を3位でこらえ、中2日ノーレース。その間、サポートメンバーはミス一つない完璧な動きを見せてくれました。チームのみんなが自分の持ち場でしっかりと役割を果たしている。開会式から合流したメンバー含め、チームが同じ目標に向けてまとまっていく。夢にまで見た光景を前に、僕はリーダーとしてもう何もすることはないと感じました。というより、みんなが頼もしすぎて、口を出す余地すら残っていなかったという方が適切かもしれません。1年間、苦楽を共にしてきたみんなの複雑な思いを多少なりとも知っていたからこそ、その姿には胸を打たれるものがありました。
そして、僕に残された仕事は最終日のスタメンを決めること、それだけでした。最終日は、前入りでさんざん練習した北風の順風予報。交代直後に役目を果たし、ノーレースになったレースでも5位につけた、好調の福矢・南野か。北風で艇速・コースともに抜けているが、第1レースの結果を引きずっている飯島・金岩か。この決断が今回のインカレを決める、そう思いました。飯島たちは大丈夫とは言いつつも、明らかに焦りが見え、不安しかありません。結果を求めるなら、きっと福矢たちを選んだことと思います。ただ、チームメイトを信じると決めていたのに、ここで飯島たちの言葉を信じられなくていいのか。自問自答のすえ、不安を振り切って、飯島・金岩でいくことを決めました。その日の夜のミーティング、あふれ出てくる思いを必死でこらえ、泣きそうになりながら最終日のスタメンを伝えました。言いたかったことは何も言えず、引退まで残り1日でもまだ理想のリーダーにはなれなかったなあと思いつつ、眠りにつきました。
そのあとは皆さんご存じの通りです。優勝が決まった瞬間、飯島たちを信じて、サポートを信じて、みんなを信じ切って本当に良かったと心の底から思ったのを覚えています。そして、リーダーとしての一年のありとあらゆる思い出が走馬灯のように頭の中を駆け巡り、涙があふれて、まともに顔を上げることができませんでした。部旗を掲げて帰着した時、出迎えてくれたチームみんなの笑顔を一生忘れることはありません。自分たちがやってきたことは正しかった、俺らが日本一のスナイプチームや、と確信しました。

今回の優勝は、「1年間チーム一丸で向かってきました」なんて一言に収まるほど綺麗なものではなかったかもしれません。自分含めみんなが同時には存在しえないような相反する感情をもちつつも、それを共存させようとして、ぐちゃぐちゃになって、それでも前を向こうとする。その意味不明なぐちゃぐちゃを経て、自分の中で答えを出して、インカレに臨む。その熱い思いが他のどの大学をも凌駕し、今回の結果に繋がったのではないでしょうか。
1年を通して、チームの在り方、リーダーの在り方、自分自身の在り方、すべてに完全に納得できた人なんていないと思います。それにも関わらず、そしてだからこそ、同じ夢に向かい、まとまり、役割を果たし、一緒に喜んでくれたみんなには感謝しかありません。こんなすばらしい可能性を持ったチームを信じるという役目につけたこと、そしてそんな最高のチームの一員になれたことは僕の宝であり、誇りです。みんな本当にありがとう。

さいごに。結局、「良い」チームってなんなんでしょうか。心の中にそれぞれの答えがきっとあると思います。どんな形であれ、自分たちが納得し、誇りをもてるような、そんなかっこいいチームでいてくれることを切に願っています。そして、藤田新主将率いる85代の活躍を祈り、僕の最後のブログとさせていただきます。

4年間、ほんとうにありがとうございました。

京都大学体育会ヨット部
第84代スナイプリーダー
長塚正一郎 

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